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アブロ シャクルトン : ウィキペディア日本語版
アブロ シャクルトン

アブロ シャクルトンAvro Shackleton)は、アブロ社がアブロ リンカーン爆撃機に新しい胴体を取り付けて開発し、イギリス空軍により使用された長距離洋上哨戒機である。元々は主に対潜戦(ASW)と洋上哨戒機(MPA)として、後に早期警戒管制機(AEW)、捜索救難(SAR)やその他の任務が追加されて1951年から1990年まで使用され、南アフリカ空軍でも1957年から1984年までの期間使用された。機体名称は極地探検家アーネスト・シャクルトンに因んで命名された。
== 設計と開発 ==

シャクルトンはロイ・チャドウィックによりアブロ 「タイプ696」として開発された〔Billings, Bill. "The Shackleton Story." ''The Shackleton Association''. Retrieved: 10 July 2008.〕。この機体はアブロ リンカーンを基にしており、リンカーン自体はチャドウィックの初期の設計作であり、その当時はASW機として使用されていた第二次世界大戦時の成功作であるアブロ ランカスター重爆撃機から派生した機体であった。シャクルトンとなる機体の設計はリンカーンの主翼降着装置に新しい胴体を結合させるというものであり、開発期間中は当初「リンカーン ASR.3」と呼ばれていた。ロールス・ロイス グリフォン エンジンで直径13 ft (4 m) の2重反転プロペラを駆動し、特徴のあるエンジン音に加え操縦士が聴覚障害を引き起こすほどの高周波音を発生した。MR.1の初飛行が1949年3月9日にアブロ社の主任テストパイロットのJ・H・オーレル(J.H. ("Jimmy") Orrell)の操縦で行われた〔Harlin and Jenks 1973, p. 164.〕。ASW任務でシャクルトンはソノブイ電子支援手段(ESM)、Autolycus(ディーゼル排煙探知装置)と短期間信頼性の低い磁気探知機(MAD)を携行した。武装は爆弾9発、又は3発の航空魚雷爆雷と20 mm 機関砲を搭載していた。
MR.2は運用からのフィードバックにより改良された型で、熱心な愛好家からはシャクルトンの決定版だと考えられている。全周囲への索敵とバードストライクの危険を最小限に抑えるためにレドームは機首から胴体下面へ移設され、機首と機尾の双方が延長された。尾翼は再設計され、降着装置は強化された。
MR.3は搭乗員からの要請に応じて改設計されたもう一つの型であった。首車輪式降着装置が導入され、胴体は全般的に拡大され、改良型のエルロンと翼端増槽が取り付けられた。15時間に及ぶ飛行を行う搭乗員の士気を高めるために遮音性を向上させ、専用のギャレーと仮眠用スペースが設けられた。これらの改良により英空軍のMR.3は離陸重量が30,000 lb (13,600 kg) (Ph. III) 以上に増加し、離陸するためには補助動力としてアームストロング・シドレー ヴァイパー Mk.203 ターボジェットエンジンの使用(JATO)が不可欠となった〔"Shackletons in the SAAF - Retirement." ''The Shackleton Project''. Retrieved: 10 July 2008.〕。この特殊な型は機体に負荷がかかり、英空軍のMR.3はMR.2よりも早く退役せざるを得ないほど極端に飛行寿命が減じられた。南アフリカ共和国への武器禁輸のお陰で南アフリカ空軍のMR.3にはこの改良策が施されず、南アフリカ独自の改良が続けられた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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